故郷が好きな若者へ



ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツの高萩徳宗(たかはぎのりとし)です。

 

先日、お客さまと新潟県の佐渡に出かけました。
美しい田園風景、荒々しい日本海、能舞台(上の写真)、飛び切り美味しい海の幸、
伝統芸能を守る高校生たち。


島の温かな人たちに囲まれて、幸せな時間を過ごしました。

でも、いつも気になるのは地方の高齢化。

佐渡の高齢化率は50%に迫る勢いで、大規模病院の病棟はいつも満床だそう。
福祉施設のお世話になる高齢者も多く、島の集落の半数は空き家だとタクシーのドライバーさんがおっしゃっていました。
廃校になった小学校は老人ホームに改装されているそうです。

 

●若い人は?

 

佐渡には高校が3校あるそうです。高校を卒業すると佐渡には就職先がほとんどないので島を出て行くことになります。新潟市内、大阪、首都圏。一度、出て行った子供たちが島へ戻ることはないと聴きました。

 

これは佐渡に限ったことではなく、日本の地方全体に言えることです。
もちろん若者は東京や都会に憧れるというのもあるでしょうが、多くの若者は、できることなら自分が生まれ育ち、慣れ親しんだ町で暮らしたいと思うのではないでしょうか。

 

今、都会と地方の情報格差は小さくなり、ネット通販でほとんどのものは手に入りますから、田舎に住むデメリットは昔ほどありません。お米や野菜、くだものや魚などが近所から回って来たりもして、生活コストは地方が圧倒的に安い。
マイナス面があるとすれば、光ファイバーがないことくらいでしょうか。

 

大学の4年間くらいは東京に出ても構いませんが、その4年間を使って「就職活動」などという非生産的な、誰も幸せにならない時間に割くのでは残念です。
せっかくの学生生活、学業はもちろんのこと、国内貧乏旅行、海外貧乏旅行をして見聞を広げ、ゲストハウスなどで外国人と寝食を共にし、経営者やアイディアをたくさん持っている大人の話を聴き、ネットオークションやフリーマーケットなどで、顧客心理を学ぶ。

 

就職活動は、せっかく入った会社を辞めてしまえば、投じた時間はすべて無駄になります。就職人気ランキングの10位以内に入っている有名企業の3年以内の離職率が40%を超えていると聞くと、全体的に「何かが間違っている」と思うのは私だけでしょうか。

 

それでも、皆がスーツを着て、何十社もぐるぐる回っているから、一緒に回れば、少しは安心なのでしょうか。

自分の、一回きりの人生です。もう少し、有限である時間を大切に使いませんか。

 

自分の人生は自分で描く

●可能性は無限大

 

若いと言うだけで、可能性は無限大です。
皆がやっていることは、失礼を承知で言えば、就職と言うより「就社」です。
会社に入ることが目的化しています。

 

では、入社したあと、自分がやりたいことが出来ますか。
飛び込み営業、テレアポ、ノルマ…。
人生、理不尽なこともたくさんありますし、修業も否定はしません。

 

でも理不尽な修業の先に、どんな未来が待っているのでしょうか。
どうして、通勤電車のつり革につかまる先輩や上司はあんなに疲れ果てているのでしょう。

 

上司や先輩の疲れ果てた姿を見て「俺も、私も将来はあんな風になりたい」と思いますか。

 

仕事柄、私は世界のさまざまな国をお客さまと訪れますが、社畜という言葉がぴったりハマるのは先進国では日本だけです

 

それでも昭和の時代は我慢していれば、それなりに会社が処遇してくれましたし、なんとなく安定した未来がありました。

 

あなたはどう思いますか。
それでも、やっぱり大手が安心だと言うなら否定はしません。

 

大手でも中小零細でも自営でも良いので、自分の人生の主導権だけは自分の手に持っていて欲しいです。

 

大手広告代理店で上司のパワハラの末、精神的に追い詰められ命を絶つなんて、あってはならないし、
優秀で真面目な公務員が文書改ざんに手を染めさせられた挙句責任を感じて命を断つなんておかしいし、許されない。


こんな日本は私たちの代で終わりにしましょう。

日本を変えるのは政治でも行政でもありません。若いあなたたちの明確な意思と行動力です。

 

私自身、何のとりえもないただのサラリーマンから起業して、何とかここまでやれたのです。可能性は無限大です。
なりたいあなたになって下さい。上司や組織に魂を売ってはダメです。

 

 


故郷とあなたの関係

空気も環境も良いあなたの故郷で、ストレスのない生活を担保しながら、自分が食べるくらいのお金を生み出したい。そう考えたなら、いくつかの方法があります。

 

1.自分の住む地域の周りの人、100人の顔を思い浮かべてみる

 

ご高齢の方が多いかも知れません。近所のおじいちゃん、おばあちゃんの困りごとをヒアリングしてみて、「便利屋」みたいな業態が出来るか考えてみましょう。
田舎の困りごとの駆け込み寺って、とてつもないニーズがありますよ。

ポイントは、あなたがやりたいことではなく、地域の人がやって欲しいことです。

 

2.自分の住む地域の産品やサービスと都会を繋ぐ

私の周りに「スーパーのお米は美味しくない。美味しいお米を食べたい」という人は大勢います。ネットを見れば幾らでも買えるのですが、私たちはアナログなつながりで買いたいのです。判りますか?私は以前、北海道の増毛という町に住む農家さんから直接お米を買っていましたが、高齢で田んぼをやめてしまいました。

それから、産直のお米って梱包単位が大きすぎるのです。10キロとか。今、スーパーでは1合のパックを売っています。これが都会のニーズです。あなたの3軒隣の農家さんがお米を直販したいと考えていたら、1食用パックにして都会向けに売る、それも広告宣伝費などかけないで、つてだけで売る。
お客さま、1000人もいれば充分ペイできるのではありませんか。

オイシックスの我が故郷版みたいな直販も面白そうです。

 

3.場所を選ばないビジネスをする

 

鹿児島県、奄美群島に加計呂麻島(かけろまじま)と言う人口1,100人の島があります。関西から移住された女性が、ここで有機のお菓子を作って通販されています。
このお菓子は加計呂麻島でなくても作れます。でも、生活コストの安い島に暮らしてネット通販でモノを売れば、価格は都会価格で買って貰えます。1年の半分くらいしか働いていないと聴いています。こんなゆるいライフスタイルを、日本人はもっと取り入れるべきです。目を吊り上げて働くのはもうやめましょう。

 

 

ベルテンポ・カレッジのテーマとしては観光振興や地域活性化、着地型旅行などを何とかすべきとお考えかも知れませんが、「人を呼ぶ」って思っている以上に大変です。
冷たい言い方になるかも知れませんが、人が、わざわざ、お金を時間を使ってどこに行くかを決めるのは、割とドライです。佐渡がどんなに魅力にあふれていても、都会の人の多くはディズニーランドやハワイに出かけてしまうのです。これは現実です。

 

観光振興を本腰入れるなら、ここをスタートラインにする必要があります。
「人は来ない。なら、どうするの?」と。無理して人を呼ぼうとするから、予算をつけてDC(ディスティネーションキャンペーン)とか、大手旅行会社に協賛金払ってモニターツアーみたいな旧態依然とした動かし方になるのです。

最少でも10年のスパンで考えられないなら、小手先のことをやり続けるのが無難です。

 

大切なこと。種を蒔くのです。未来のために。観光は狩猟ではありません。
インバウンドや団体旅行は「狩猟」なんです。だからコロナ禍であんなことになる。


明日、明後日、獲物を刈り取るようなスタンスで取り組んではいけません。
ひ孫の世代位をイメージして、今、何をやるかを決めましょう。