お体に障害があったり、ご病気をされていたり、または年齢を理由に旅を諦めていらっしゃる方は日本中に大勢いらっしゃるはずです。ご家族も日ごろの介護や介助のお疲れを旅で癒したいはず。でも、現実にはなかなか旅のハードルは高いのです。日本のバリアフリーはどうしてこんなに遅れているのでしょうか。
私は。そこには大きく3つの原因があると考えています。
たとえば、人生の途中でご病気をされて、入院、手術、リハビリと過ごし、ある程度生活が落ち着いて来たとします。
「さあ、少し落ち着いたから旅に出よう!」とはなりません。
テレビの旅番組を見ても、旅行雑誌を買っても、以前のようにそれがすぐにきっかけにはつながらないのです。
あきらめ、みたいなものもあるかも知れません。
最初の一歩は本当に大変です。
誰か、身近にいる人が、
「桜の花が咲き始めましたよ。」
「信州に良い温泉がありますよ。」と言ったような、家から出る為の「目の前の人参」をぶら下げる役割が必要です。
その役割を担えるのは旅行代理店でもなく、行政でもなく、町で、ご近所で生活をしている、あなただったりするのです。
ITだ、AIだ、インターネットだと言う、この情報化社会に、バリアフリー情報、更にはバリアフリー旅行情報というものは、ブラックボックスのように、ないに等しい状態です。
観光地や旅館やホテルも、まるで意図的に隠しているのではないかと思うくらい、お足元が悪い方の情報を掲載していません。
私は情報があれば安心して旅行が出来るというほど楽観的には考えていませんが、情報はお守りのようなものです。
まったく現地がどうなっているか、判らない状態では、とても旅行に行こうとは思いません。
ある観光地に洋式トイレがあるかすら、どこをどう探しても出て来ない。観光協会も把握していない。よくあることです。
旅行には勇気が必要です。それは健康に不安がない人でもそうです。ましてお足元が悪かったり、健康に不安がある方ならなおさらです。
勇気はどうやったら生まれるのか。
きっと人それぞれですが、同じような境遇の人が旅をした体験を知ることかも知れませんし、小さな成功体験の繰り返しかも知れません。
でも、最後は不安を乗り越えてでも行ってみたいと思う気持ちになれる、旅先の魅力に勝るものはありません。
美味しいものが食べたい、美しい風景と出逢いたい。その強い気持ちこそが勇気かも知れません。